SATOXのシテオク日記

~ふもっふ、ふもふも~

何故ゲームメーカーはXbox360に肩入れするのか

昨年末のインターネットコム、JR東海エクスプレスリサーチの調査によると、3大据え置きゲーム機のうち80%の人がWiiを所有している事が分かったんだそうな。
具体的には以下のような割合です。

機種 保有
Wii 81.4%
PLAYSTATION3 30.0%
Xbox360 7.1%


主に東海・関東地方の20〜50代の男女330人からの調査結果で、うち93人がいずれかのハードを持っていたとのこと。
計算してみると、Wii:75〜76人、PS3:28人、Xbox360:6〜7人という事になります。

昨年末に行った次世代ゲーム機(今回は「第7世代ゲーム機」とする)に関する調査では、第7世代ゲーム機の所有者が持っているゲーム機は「Wii(ウィー)」81.4%、「プレイステーション3」30.0%、「Xbox360」7.1%と、Wii が圧倒的に多い結果であった。

ちなみに、先週のハードウェア販売台数は以下のような結果に。相変わらずがWii独走状態で、PS3そこそこ、Xbox360ちまちまといったあんばいなんですな。


週間ハード販売台数(メディアクリエイト調べ 2008年7月7日〜7月13日)

機種 販売台数
Wii 41,768
PS3 12,458
Xbox 360 3,807


というわけで販売台数が伸び悩んでいるXbox360。よもや風前の灯火と言いたいところなんですが実情はちょっと違っているんです。
ってなわけでいろいろ妄想おば。
アメリカではよく売れているXbox360
アメリカではWiiもそこそこ売れていますが、Xbox360も大健闘しています。いわゆるFPSゲーム好きな嗜好とHalo3のブレーク、Xbox360自体が国産ハードという理由があるのかも知れません。
アメリカのコアゲームユーザがWiiPS3Xbox360とあればそのほとんどがXbox360を選択しているという事になります。

2007年末 アメリカでのハード販売累計台数

機種 販売台数
Wii 6,390,000
PS3 2,560,000
Xbox360 4,620,000


昨年末の販売台数をみてみると、Wiiがやはりトップシェアながら2/3位の割合で普及しており、PS3の倍近い販売台数を誇っています。一方、ヨーロッパでは若干日本に近い傾向が出ており、Xbox360よりかPS3が支持されているようです。
しかしながら後発であると考えると、PS3の伸びもなかなかのものと言えるかと思います。
Xbox360のソフトが増えている
最近のテレビCM等を見ていてもなんだか目立つのはPS3よりもXbox360のソフト。
先日はPS3の期待ソフトとされていた「ファイナルファンタジーXIII」がアメリカでXbox360でも発売される事が発表され、振り返ればバンダイナムコの「テイルズシリーズ」の最新作はXbox360。「塊魂Xbox360/PS3の同時発売はPS3版がキャンセルされるといった経緯。さらに「アイドルマスター」や「エースコンバット」などの一部のコアゲーマーに人気を誇るゲームはXbox360専売となっています。
日本ではやや冷え切ってきているゲーム市場は、アメリカではまだまだ元気。アイドルマスターはちょっと特殊ですが、その他のゲームについてはアメリカでも移植して販売されているケースが多く、トータル市場として「日本ではあまり売れないけど、アメリカでは結構売れる」Xbox360を選択した、という事由なのではないかと推測するわけです。
実際、Xbox360の日本向けソフトで儲けるのは非常に困難で、あのアイドルマスターですら販売本数は10万本ほど。開発コストを下げるか、ダウンロード販売などしないとペイ出来ないわけです。アイマスXbox360はアーケード移植で開発コストは低いし、ダウンロード販売でもう勝手そうですね(笑)
■作りやすいXbox360、作りにくいPS3
いちおうSATOXはゲームプログラマの端くれなので事情はいろいろ知っているのですが、言える事はプログラミングしやすい環境が整っているのはXbox360ということです。(一番整っているのはWiiかな??)
Cell/SPUを駆使しなければ高速化が望めないPS3に比べ、普通にマルチスレッドプログラミングを行えばマルチコアで動作するXbox360は非常にプログラミングがしやすいです。また、プログラマが使い慣れたVisualStudioでデバッグする事ができ、使い慣れたDirectXを使う事が出来るのは大変大きいです。
「そのアーキテクチャを絞り尽くせばパフォーマンスが出るけど、簡単にパフォーマンスを出すのは難しい」というのはPS2の時とまったく変わってません。ちなみに、同じ状況だったのがNintendo64。それを悔い改めてリファインしたのがGMAECUBEなんです。さらに余談としてはGAMECUBEWiiアーキテクチャとしてほとんど何も変わっていないハード。PS3なんかは高価で売れれば売れるほどSCEが損しますが、Wii任天堂が儲かります(笑)。
ミドルウェアのパフォーマンス
これは噂ですが、PS3のロンチのゲームがイマイチパッとしなかったり、塊魂PS3版がキャンセルされたのは、期待されていたレンダーウェアなどのミドルウェアのパフォーマンスがいまひとつ出なかったというのが理由だったようです。その後、レンダーウェアを開発したクライテリオンはエレクトリック・アーツ(EA)に買収され、多くのゲームメーカがそのとばっちりを食ったという……。(レンダーウェアはサポート打ち切りとなり、ソース提供されたそうな)有名なUnreal Engineでさえ、PS3版はひどいパフォーマンスだったようです。
開発環境のパフォーマンス
一方、PS3の当初の開発環境は悲惨なもので、GUIIDEが全くない状況で開発しなければなりませんでした。SCEにとってはGUI IDE「ProDG」を有するSN Systemsの買収を急いでいたと思うのですが、その時期がずいぶんスリップたことによってゲームの開発が遅れたと言えるかもしれません。
GUI IDEを有するMetroweaks(現Freescale)は、当然PS3版を開発してシェアを採ろうとしていたCodeWarriorの開発をSCEに断られ、方向転換を余儀なくされました。早くからMetroweaksを受け入れて整った開発環境を提供していれば、ロンチに良質なソフトを出せたのかもしれません。ちなみに、WiiやDSではCodeWarriorが開発者に対して無償で提供されています。
ネットインフラ
さらに、PS3のロンチではネットインフラが整っておらず、サーバを自前で構築しないといけなかったり、ダウンロードコンテンツを利用するインフラが整っていませんでした。一方、Xbox360環境ではネット環境が大変充実していました。バンダイナムコの話が多いですが、アイドルマスターダウンロードコンテンツでずいぶん売り上げを伸ばしました。これまでの通り、Xbox360のネットインフラは充実しているのでダウンロードコンテンツ販売など、Xbox360の方がやりやすかったわけです。
アイドルマスターでは例えばアイドルに着せるコスチュームを買ったり出来るわけですが、データはサーバ上にある無形のものだったり、ひどいとディスクに入っているデータを使えるようにするために数バイト(1ビット?)のフラグを書き換えるのにユーザがお金を払うわけです。よくよく考えればひどい話。
マイクロソフトと包括提携?
SCEマイクロソフトもそのシェアを確固たるものにしようと躍起になっているはずです。SCEファイナルファンタジーXIIIPS3専売に出来なかったのは、あくまでその選択は開発元が選択したものでありSCEの圧力ではなかった、という事だろうと想像します。もしかしたら、「日本ではPS3だけ」という何らかの契約があるのかもしれませんけどね。
一方、日本でのXbox360の鍵を握ると言っても過言ではないバンダイナムコマイクロソフトは何らかの包括的な契約をしている可能性があります。バンダイナムコにとってはPS3を捨てるわけにもいきませんから、例えば「年間Xbox360専用ソフトを3本リリース」とかって決まってるかも知れません。適当な想像ですが、Xbox360への力の入れ方がちょっと異常なので、いろいろ考えてしまうわけです。
基本的に、ゲームプログラムは特に難しい事をしようとしない限り、簡単に他機種に移植出来るように機種依存の部分は分離してモジュール化して作ったりするものです。コーエーなんかはうまく作ってますよね。他機種で出すかどうかは、ようはどれくらい出す事で儲かるかという会社の判断があるわけです。